秘密11

 弾正が兵を2千連れて京に出発した。信長も上洛すると言う話だ。筒井は織田に弾正との争いをやめるように釘を刺されている。今回は京之助を大和の城下町に迎える。念のために彼には揚羽も会わさず年寄りも使わず狗自身が迎えた。弾正自身が城を空けているので町はひっそりしている。旅籠も別の宿を取った。
「お一人ですか?」
「一人と言えば一人だが、私の周りには柳生の忍者が付いている。破門されたと言っているが順慶さまもご存じだが柳生の密偵だ」
「柳生にも忍者がいるのですか?」
「ああ、柳生も強国に挟まれて生きるのが大変なのだ。一時松永についていた頃もあった。だが弾正は信じられない。それで順慶さまに乗り換えた」
 話をしながら城周りを歩く。
「弾正は織田を裏切るだろうな」
「なぜ?」
「私は一時弾正の元にいた。恐ろしい男だ」
「天守閣に入ったことは?」
「ない。まだその頃は今の城はなかった。だが彼の周りには白髪の老人がいる」
 それがあの修験者の頭領だ。急に笛が鳴った。木の上から忍者が降ってきた。京之助が鮮やかに一人を切り倒す。狗は転がって刃を躱す。7人だ。そのうち2人は修験者だ。木の陰にいるのはあの胡蝶だ。体が痺れてくる。
「狗別方向に逃げるのだ。あの巫女は恐ろしい」
というなり京之助は脱兎のように駆け出す。狗も反対方向に駈け出す。藪の中から鼠の合図が聞こえる。







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2017.08.21 | | Comments(0) | ファンタジー

秘密10

 山城の城に降りる。すでに年寄りからの連絡でくノ一と下忍が戻ってきていると伝えられた。山に登ったのは誰にも話していない。部屋に入ると下忍とくノ一が旅装束で座っている。
「貰っていた城の見取り図です。これはくノ一の報告で実査したものを書き入れています」
 下忍が説明をする。彼は見取り図専門の下忍だ。
「表門がくノ一の言う通り二重になっていました。攻められたときにここまで入れて鉄砲で倒すものでよく見られるものです」
「ここから入ったのか?」
「いえ、表門は合戦の時しか開かれないそうです。これは城の侍に聞きました」
「ここは?」
 裏門が新たに加えられている。
「これはさすがに警戒が厳しくて門だけを見ただけです」
 くノ一いや揚羽が微笑んで答える。
「これは前の領主からいた村の女中の話ですが、弾正の手のものが壁を破って攻め込んだと言うのです」
「だがこの後ろは崖になっているのだろう?」
「はい。ここは普通の兵では下りれません。忍者でないと無理です」
 下忍は崖は調べたようだ。
「これも女中の話ですが攻め込んできたのは修験者達だったそうです」
 揚羽は嘘をついていない。狗は地図をよく見た。この崖の上には修験者場に繋がっている。揚羽は狗が 修験者場を調べたことを知らない。
「ご苦労。戻るんだ。私は大和に寄って帰る」
 揚羽から大和に伝わるはずだ。だが旅籠を出ると狗は筒井に向かって走った。筒井に入った時あの京之助が顔を出した。無言で着いてくるように言う。
 陣幕が張られていて兵が囲んでいる。
「狗か?弾正の兵が昨夜5百攻めてきた。いよいよ侵攻を始めたのだ。あの出城から攻めてきた。どうしてもあの城は取り戻さないとダメだ」
 それで裏門の話を含めて伝えた。それを聞いた順慶は京之助を呼んで狗に詳しい場所を説明させた。









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2017.08.20 | | Comments(0) | ファンタジー

秘密9

 山城にはすでに年寄りを送っている。この年寄りの段取りでくノ一は城に上がるようになっている。下忍は城の兵に化けてくノ一の調査の繋ぎをする。だが城の再普請はすでにあらかたこの年寄りが行っている。新たな普請があるかと揚羽の報告を試そうと言うのだ。狗は下忍とともに城に入ったことになっているが別行動をとっている。これも年寄りの調査を参考に修験者の場所を想定している。これは順慶から貰った百地の探索結果も入っている。
 描かれた地図の崖道を上ると百地の忍者が3人殺されたと言う岩山に出る。ここは山城の城から3刻登ったところだ。ここは岩山が多い。狗は漁師の格好で鉄砲を背負っている。1刻岩の上で周りを凝らしていると微かに煙が見えた。その煙の近くまで来て洞窟で一夜を明かした。多数の人の気配がしたからだ。
 明け方岩場の下までたどり着いた。ここには修験者の見張りが5人ほどたっている。
「頭領が来られている。見張りを厳重にと言うことだ」
 修験者の一人が話している。頭領がいるのだ。狗は持ってきた修験者の衣装に変わる。岩場の反対側から崖を上る。至る所に小屋が作られている。この高さまで上がらないと見えない。この数なら千人はいるようだ。ここに修験場があると言う報告はない。それに小屋もそれほど古くない。進めば進むほど小屋の数が増えてくる。とくに大きな小屋に潜んだ。この周りには50人ほどが集まっている。
 狗は気配を消して小屋の裏から潜る。ここは祭壇裏になるようだ。小屋の中には10人ほどがいるようだ。狗の前に白髪の修験者の背中が見える。これが頭領だろうか。
「胡蝶元気だったか?」
と言われたのは前に座っている狐と同じくらいの巫女だ。
「私の出番はまだですか?」
「そろそろ山を下りるか?」
「はい」
「子供は何人に?」
「50人はいますが使えるのは5人ほどです」
 やはり捨て子をここで育てているのだ。
「よしその5人を連れてまいれ。式神を貼り付ける」
 式神?
「それが済んだら儂と大和に行く」
 やはりこの修験者が弾正と係わりがある。








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2017.08.19 | | Comments(0) | ファンタジー

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hamham868611

Author:hamham868611
『けもの』を書き始めて長い中断が訪れました。半年ほど書けなくなって遂には『夢の橋』を書き始めてそれを書き上げてやっとここに戻ってきました。

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